みどりの緑陰日記

香港で始めたプレイルームどんぐりから数えて35年、子ども達に絵本や児童書を手渡し続けてきました。絵本や児童書のこと、文庫活動のことなどを綴っています♪ noteも書いています(https://note.com/child_books/)

2015年10月

石井登志子氏講演会へ・・・

10月17日(土) 14:00〜 @銀座・教文館ウェンライトホール

リンドグレーンをはじめ、べスコフなどスウェーデンの絵本や児童文学を翻訳していらっしゃる石井登志子さんの講演会「作品にこめられたリンドグレーンの願い」を聞きに行きました。

今年はリンドグレーンの代表作『長くつ下のピッピ』が出版されて70年目。スウェーデン大使館でも長くつ下のピッピ生誕70周年記念イベント「子どもの居場所」が行われるなど、今年は関連イベントも目白押しでした。

その一環としての石井登志子さんの講演会でした。

『長くつ下のピッピ』については仕事で作成しているサイトでも紹介しました!→こちら

講演のオープニングでは、今年5月7日にスウェーデンで発行された『アストリッド・リンドグレーンの戦争日記(Astrid Lindgren's second world war diaries)』についてでした。

『長くつ下のピッピ』でデビューする前の1939年のドイツによるポーランド侵攻に始まり1945年8月の日本の降伏などを含めて、17冊の日記帳に新聞の切り抜きなどを貼り込んで、世界情勢が書き込まれていたものをまとめたものだそうです。

スウェーデンは第二次世界大戦には参戦していなかったけれども、同じヨーロッパの国々の動向を、二人の子どもを持つ32歳の母親であったリンドグレーンが固唾をのんで見守っていたということが、とても印象的でした。

こんにちは、長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン
徳間書店
2004-02-17

さて、『長くつ下のピッピ』は、1941年生まれの娘のカーリンに寝る前におしゃべりをして聞かせていたおはなしから生まれるのですが、出版された当時、破天荒なピッピの姿にとんでもないという意見も多く、賛否両論、教育界を巻き込んだということ。おとなたちの心配をよそに、子どもたちにピッピは絶大な人気を誇り、それまで続いて来たスウェーデンのセンチメンタリズム、教訓主義に風穴をあけたのです。

アストリッド自身が、大人に干渉されることなく遊んで遊んで遊び倒した経験を通して、子どもが自分で考えて行動することが、とても大事であることを知っていたんですよね。
遊んで遊ん でリンドグレーンの子ども時代
クリスティーナ ビヨルク
岩波書店
2007-07-27



既成概念を打ち破り、おかしいと思う矛盾を徹底的に突くという姿勢は、今年日本で出版されたこんな本にも如実に表れています。
暴力は絶対だめ!
アストリッド・リンドグレーン
岩波書店
2015-08-07

これは1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で行ったスピーチなのですが、当時子どもを躾をするのに体罰を容認する考え方があったのを、そういう養育方法を断固糾弾した姿勢は、ほんとうにすごいと思います。ダメなものはダメと、きちんと声に出して伝えてきた彼女の姿勢には、こちらも背筋がしゃんとしてきます。

石井さんは、講演の後半ではやはり今年出版された『リンドグレーンと少女サラ 秘密の往復書簡』についても詳しく話してくださいました。
リンドグレーンと少女サラ――秘密の往復書簡
アストリッド・リンドグレーン
岩波書店
2015-03-19

リンドグレーンに手紙を送ったサラは当時12歳。物語が面白かったと伝える読者からのファンレターが多い中で、サラからの手紙は異色。自己顕示欲の強い手紙に、逆に惹きつけられたのかもしれません。このサラ、現在50代半ばを過ぎた私と同年代の女性ですが、なんと12歳で初めて手紙を出し、返事をもらうようになって、文通は20年近く続いていたのです。

サラ自身が親に暴力をふるわれていたという背景があり、不安定な10代の彼女を支えていたのがリンドグレーンの手紙であったことが、この本から伺えます。当時、リンドグレーンは世界的に有名な作家になっていて、多忙であったにもかかわらず、どんなに忙しくても、自分を求めてくる小さな声を切り捨てることがなかった、その姿勢に、彼女の作品がうわべのものではなく、作家の良心による、作家自身の生き方そのものだったんだということを改めて感じました。だから、リンドグレーンの作品が子どもの心を捉え、魅了するんだなとも思いました。

石井さんは、講演の間はきっちりと原稿を作ってこられて、その通りにお話をしてくださったのですが、質問コーナーになると、実際にスウェーデンでのお元気なころのアストリッド・リンドグレーンの姿や、娘さんとのやりとりについて伝える時には、その時のことを思い浮かべて楽しそうに生き生きとその様子を伝えてくださったことが印象的でした。 

月夜の絵本会へ…細川貂々さんの回へ

10月16日(金) 19:00〜 @ロケットカフェ(池袋)
20151016月の絵本会3
 絵本コーディネーターの東條知美さんが主宰する「月夜の絵本会vol.7」細川貂々さんの回に参加してきました♪

『ツレがうつになりまして』(幻冬舎 2006)で一世を風靡した漫画家の貂々さんが、同じく東條さんが夏の終わりに企画・開催したトークイベント「僕らの絵本〜永遠に終わらない宿題編」イベントで絵本作家としての決意を語っていらっしゃいました。
その続きの物語を伺うトークイベントでした。当日の様子は主宰者の東條さんのブログ「僕らの絵本」(→こちら) に詳しいので、ぜひぜひ読んでみてください。

『ツレうつ』は、当時 漫画本も読み、映画も観にいきました。父が20年ほど前にうつ病を発症し、長い闘病生活を送って、10年ほど前からやっと安定してきたところでした。そんなわけで、身近な問題として漫画本を購入し、映画も観に行きました。20151016月夜の絵本会5

その貂々さんが絵本?どうゆうこと? 正直に言うと、そう思っていました。以前、彼女がある絵本作家として組んで絵を描いた絵本も見ていましたが、甘いというか、まあ、それはテキストがいま一つということもあって、彼女はあくまでも漫画家であって、絵本作家としては向いていないだろうと思っていたからです。

また、私が問題視していた絵本『ママがおばけになっちゃった』の作者のぶみ氏とも親しいということで、今回の月夜の絵本会は欠席しようかと思っていたほどでした。

でも主宰の東條さんから、いろいろな立場の人の意見があったほうが、絵本作家が伸びていく力になるからと、あえて辛口の私が参加することを勧めてくださり、私も東條さんの作る場の雰囲気が好きなので参加してきました。

東條さんのインタビューに答える形で貂々さんのおはなしを聞いているうちに、彼女の素の部分が素直に表出されていて、とても好ましく感じました。背伸びをしない、丁寧な話し方に誠実な方なんだなあと思ったのです。

また、大阪・堺のギャラリーリールのイベントに合わせて、作られた絵本『からくりむしゃ はぐるまのすけ』(ギャラリーリールでのイベントのみで取り扱いだったとのこと。)の、絵本としてのアイディアがとても面白く、もう少し工夫すればもっと素晴らしい作品になるのではと思いました。編集者が、適切なアドバイスをして大型本として出版すればよい作品になるかとも。というのも、この作品の底流に流れているコンセプトがとてもよいからなのです。

彼女は今まで漫画家として、作品を生み出してきたので、誰かの文章に絵をつけるよりも、作/画で絵本を制作する方が、持ち味を出していけるのではないかなと思いました。

インタビューが終わったあとは、「僕らの絵本」イベントにも参加されていた漫画家の内田かずひろさんや、絵本作家のこがようこさんも参加されていて、それぞれの方からのお話も面白かったです。
ロダンのココロ
内田 かずひろ
朝日新聞社
1997-12


← 内田かずひろさんの代表作『ロダンのココロ』


こがようこさんの最近の絵本は  ↓ ↓ ↓

20151016月夜の絵本会 また、「僕らの絵本」イベントのオープニングを飾ったというお笑い芸人のサボテンサトシさんの飛び入りライブもあって大盛り上がりでした♪(私は、8月31日のイベントには遅れて行ったので、今回初めてライブ見ました〜)若い絵本作家志望の女の子たちがサボテンサトシさんの話術に惹きこまれていました。

これからブレイクするといいですね!
月夜の絵本会・・・絵本の作り手も、読み手も、編集する立場の人もいろいろな人が集まって、前向きに絵本のことを真剣に語り合える、面白い場に育ってきたと思います。それもこれも主宰の東條さんの、まさに企画力ですね!

映画いろいろ…

ここ2ヶ月の間に見た映画について・・・備忘録的に記しておきます。

8月26日(水) 18:55〜 @ヒューマントラストシネマ有楽町
   「ふたつの名前を持つ少年」 

T0019973 この夏に読んだ岩波少年文庫『走れ、走って逃げろ』(ウーリー・オルレブ)が映画化されたというので、大人絵本会友達のU子さんと一緒に見に行ってきました。
詳しい情報は、「ふたつの名前を持つ少年」公式サイトを見てもらえれば良いと思いますが、ナチスドイツによるホロコーストを、逃げて、逃げて生き延びたユダヤ人の少年の実話をもとに描いた作品です。
(C) 2013 Bittersuess Pictures


美しいポーランドの四季折々の風景とは裏腹に、ユダヤ人であるというだけの理由で、迫害され、過酷な環境下で生き延びていく少年の日々を静かな目線で描いた作品です。死ぬか生きるか、ほんとうに過酷な運営を背負わざるを得なかった少年の、生きようとする静かだけれど力強い生命力に心を打たれました。

主人公の男の子は、生き延びるためにワルシャワ・ゲットーから脱走する時はたった8歳。同じく脱走した少年たちに生きる術を学びながら転々としますが、秘密警察に追われ、ひとりになってしまいます。その森の中でのシーン、彼の上に降り積もる雪が彼の悲しみと不安を大きく表していました。

その後、スルリックというユダヤ人の名前を隠して、ユレクという名のポーランド人の孤児だと偽ってポーランド人のところに匿われます。それは同じく逃亡していた父親からの遺言でした。ひとり逃亡を続けていたとき、父親とばったり行き会います。その時、父親はユダヤ人の名前を捨てることを伝えます。ただしユダヤ人の心は決して忘れるなと言い置いて、父はスルリックを生かすために自ら秘密警察の前に飛び出し銃殺されるのです。

スルリックを最初に匿ってくれたヤンチャック夫人は、キリスト教徒としての振る舞いを教え込み、彼を無事に逃がしてくれるのですが、ユダヤ人を匿った疑いで村ごと焼き討ちにあってしまいます。

1942年から、ソ連がベルリンを占領する1945年春までの間のスルリックの日々を涙なしでは見ることができませんでした。まさに戦後70年の夏、そして巷では安保法案への反対の声が大きくなる中で見た映画として、心の襞の奥へと染み込んでいくような作品でした。

9月23日(水) 18:00〜 @東中野ポレポレ坐20150919ポレポレ坐3
水と風と生きものと―中村桂子・生命誌を紡ぐ

9月19日(土)に代官山蔦屋書店『いのちのひろがり』出版に関連するイベントで中村桂子先生のお話を伺い、この映画が東中野で上映中と知って行ってきました。
中村先生の若い頃から、今までの研究について、生命誌という考え方に至ったその考え方が、中村先生の暮らしや、周りの人との対談から見えて来て、とても面白かったです。
私たち人類が生命の樹の頂上にいるわけではなく、全ての生命と同じ並びにいるってこと、ひとつの枝でしかないってこと、生命への畏敬の念と、謙虚さを持つことが、持続可能な生命を考えていくうえでのヒントになるんだろうなって思いました。

終了後に、建築家の伊東豊雄さんと中村桂子先生の対談も!岐阜市に出来た新しい図書館「みんなの森 メディアコスモス」のお話なども伺うことが出来て、すごく得した気分♪20150919ポレポレ坐

20150919ポレポレ坐2ポレポレ坐では、生命誌研究館の特別展示も行われており、こちらも興味深かったです。いつか高槻のJT生命誌研究館にも伺いたいな〜と思いました。
← 生命誌曼荼羅



10月12日(月) 10:00〜 @バルト9
GAMBA ガンバと仲間たち
斎藤惇夫氏の代表作、『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』の映画化作品です。20151006トークショー

ブログにも書きましたが、10月6日に公開記念イベントに参加し(→こちら)、斎藤さんが「本を書き終わった時に、自分の中で物語は完結している。あとはどのようにアニメ化されたり映画化されたと20151012ガンバしても、それは別のもの。自分の手を離れている」という発言に、子ども時代に親しんで作品世界を壊したくないから見に行かないぞ〜と思っていたのを取り消して、別の作品だと割り切って見に行くことにしました。

そして、やっぱり別の作品でした。この映画は現在絶賛公開中なので、ネタバレになることは書きませんが、『冒険者たち』とは違う物語だということを、しっかり頭に入れておかないと・・・え?え?え?の連続になっていまいます。20151012ガンバ2

3D映画なので、映像そのものはとても美しく、割り切って観る分には面白かったです♪原作との「まちがい探し」しても面白いかも^^

映画館には親子連れがたくさん来ていました。30代、40代の親御さんと幼稚園〜小学生くらいの親子が多かったかな。これをきっかけに原作の本もぜひ読んでもらえるといいな〜って思いました。

10月18日(日)16:00〜 @TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
マイインターン
20151018マイインターンあとでまたブログ記事にしますが、この日は神戸・北野のドイツワイン専門店ローテローゼが東京でのワインフェアに合わせて企画した「ドイツワインと秋の稔りの出会い」ランチ会でした。
曙橋にある魚亭かみやで、ドイツワインと和食のマリアージュを楽しむ会に、長男、長女と参加し、夫が神戸で勤務していた頃に出会い、夫がワイン通になるきっかけを与えてくださったローテローゼの社長ご夫妻に会っておきたかったのです。12096526_906202056128732_1234173145220865666_n

そのランチ会が終わったあと、長男も長女もそれぞれ予定があって、現地解散!わぁ、それはちょっと寂しい・・・ということで、長男のすすめでこの映画を観て来ました。封切りされてすぐだったので、どこの映画館も席はいっぱい埋まっていましたが、六本木ヒルズのTOHOシネマズにたった1席、観やすい位置に残席あり。即予約。今はスマホでネット予約できてほんとうに便利ですね。

12074835_906202032795401_8301843577430120003_nこれも現在、公開中でネタバレになってはいけないので詳しくは書きませんが・・・

簡単に言えば、連れ合いを先に亡くしてしまったその後の人生をどう生きるかっていうのがテーマ。まさに今の私にぴったりすぎて、長男にだからすすめられたのですが・・・

喪失によって空いた大きな穴はそうそう簡単には埋められないけれど、でも前を向いて前進することの大切さも伝えてくれてました・・・

とにかくロバート・デ・ニーロがお洒落で素敵でした。年を重ねてますますその魅力が光るというか、老いて弱ってくしゃくしゃになるのではなく、背筋をピンとして、お洒落にも気を遣って、そして人生経験豊かな温かい目で周囲の人をやんわりと変えていく・・・そんな生き方にすごく共感しました。
20151018六本木ヒルズ
六本木ヒルズに行くことも、ほんとうに数年ぶり。シンガポールから帰国して1年半住んでいた芝公園の社宅から自転車圏だったので、当時映画を観るのはいつもここでした。レイトショーにも、子どもたちを寝かしてからよく夫と自転車飛ばして行きました。いろんなことが胸に去来して、やっぱり泣かずにはいられませんでした・・・
 

第12回ファンタジー研究会『石の神』

10月11日(日)9:00〜 
20151011ファン研5
冷たい雨の降る朝でしたが・・・ 代官山蔦屋書店でのファンタジー研究会に参加しました。

駅までいつも自転車でいくのに、雨でバスで出るのに時間がかかるとおもって、早めに家を出たら、早く着きすぎてしまって、まずはスタバで復習。

窓ガラスを伝う雨を眺めながら温かいフルーツクラッシュティーで 温まって・・・これ、美20151011ファン研4味しい♪

さて、お題本の『石の神』( 田中彩子/作 一色/絵 福音館書店 2014)でした。

時代設定は江戸時代、上州にある石屋を舞台にした、若い石工見習の二人の少年を中心にした人間模様を描きながら、少年たちの成長を描いている作品です。

10代前半の少年たちが、自分の腕を磨いていく中で、己をみつめ、心の葛藤を乗り越えていく様子が、静かな筆致で描かれており、なにか劇的な事件が起きるわけでもなく、冒険が始まるわけでもないのですが、心地よい余韻を残してくれる作品でした。

とても地味な作品なのですが、子どもから大人への階段を上っていく時期の子どもたちにぜひ読んでほしいなと20151011ファン研3思いました。

参加した9名の感想は、しばらくしたらFacebookのファンタジー研究会のページにまとめがUPされるので、興味のある方は覗いてみてください。

今回も九人九様の読み解き方で個性が出ていて面白かったです。子どもと貧困の話題、子ども観の変遷、反戦文学と戦争文学の違い、イギリスファンタジーとの比較、職人教育の可能性、芸術論などなど、広く、深くさまざまな方向から、ひとつの作品に光が当てられ、一人で読むよりも格段に面白くなるのでした。

終了後は、これからのお題本についての検討や、12月の絵本研究会との合忘年会についての打合せも行われました。

そのあと、またまた地元民のMさんの案内で、美味しいランチタイム・・・20151011ファン研2
そこでもやっぱり絵本の話題が盛り沢山でした♪

今回、行ったのはパンの美味しいお店、メゾン・イチへ。

ここのパン、とても美味しかったです♪特にハード系のイチジクパンがとくに美味しかった♪

20151011ファン研
その後、中目黒のほうへ歩いていって、すごくかわいい絵本屋さん、コロボックルへ。絵本作家のたちもとみちこさんの作品や小物を扱う可愛らしいお店でした。店主はたちもとさんのお連れ合いなんだそう。

来年のカレンダーを購入してきました。ランチの頃には雨もあがり、少し蒸し暑いくらいに・・・その後、有楽町、銀座と新宿へ、アメリカでお世話になった方々に送るハロウィンのお菓子を購入しにデパートのはしごをしました。 

小澤俊夫先生の講演会へ・・・

10月10日(土)曇り @日本女子大学百年館
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小澤俊夫先生の東京講演会のテーマは「昔話の音楽的性質」に参加してきました。
ご一緒したのは、絵本研究会でご一緒しているダブルU子さんたち。(お二人は同じ名前だけど、字が違う〜)

お一人は、今年小澤俊夫先生の昔話大学に参加されているので、熱心にお話を聞いていらっしゃいました。

私は、昔話について小澤俊夫先生の著書はすべて読んではいるのです。そして友人たちも昔20161010日本女子大話大学で熱心に学んでいて、誘われたこともあったのですが、これまでご縁がなくて初参加。友人に情報をいただいた時はすぐに申し込みました。

しかもちょうど9月に職場の児童サービス担当者の自己研鑽チーム、児童部会で昔話をテーマに読み比べをし、その前準備もしていたので、タイムリーだったのです。→児童部会

さて・・・
昔話には、長い年月をかけて、口承されてくるなかで特徴的な様式にそぎ落とされていくのですが、そのパターンが音楽の様式と相通じるところがあるといことを、実際に音楽を聴きながら確認していくことができたのが興味深かったです。

詳しくは福音館書店の『昔話の語法』の第5章にも書かれています。
昔話の語法
小沢 俊夫
福音館書店
1999-10-20



この日、紹介された楽曲は・・・

1.モーツァルト ピアノソナタ イ長調(K.331) 第一楽章の第一テーマ
2.モーツァルト 弦楽五重奏曲第3番ハ長調(K.515) 第一楽章
3.ハイドン Cello Concerto 2番 第二楽章
4.小沢健二 痛快ウキウキ通り
5.ベートーベン 第5交響曲「運命」第一楽章の第一テーマ
6.J・S・バッハ 音楽の捧げ物 第3曲「各種カノン」a2 逆光カノン
7.小澤俊夫 メヌエット
8.(A)ベートーベン ピアノソナタ作品110番 第四楽章フーガのテーマ
9.(B)ベートーベン ピアノソナタ作品110番 第四楽章フーガのテーマ
10.(A)シューベルト 交響曲第8番「未完成」 第一楽章の第2テーマ
11.(B)シューベルト 交響曲第8番「未完成」 第一楽章の第2テーマ
12.モーツァルト メヌエット(K.2)
13.和音の終止機能
14.日本のわらべうた「堅雪かんこ」
15.日本のわらべうた「梅か桜か」

とくに・・・息子さんの小沢健二さんの「痛快ウキウキ通り」は2,3度流されましたね・・・
これは、三段跳びのリズムの説明に使われました。

昔話は同じ場面を同じ言葉で3回語るのですが、3回目は少し長いというもの。その部分の説明は小澤俊夫先生の昔話大学のサイトを参照してくださいね。→こちら

昔話とは違うのですが、息子さんの小沢健二さんは今NY在住なのだとか・・・世界的に活躍している写真家の奥様とお子さんと一緒に。

20151010昔話大学その彼女と小澤先生の奥様、つまり嫁姑で対談した書籍『老いと幼なの言うことには』(小沢牧子/エリザベス・コール 小澤昔ばなし研究所 2015)

 これ、今の子育て環境について考えるのに、すごくいいヒントをいっぱいくれます。
子ども時代にどれだけ遊び倒すか、そして人生の知恵が凝縮している昔話を語ってもらうか・・・わらべうたのような子どもの生活に寄り添う歌を歌ってあげることの大切さなを感じました。やっぱり根っこが大事だもの。

昔話の中にある音楽性というのは、私たち人間が自然の中で生きていく中で得られる生来のリズムなんだろうなぁ・・・だから語り、語り継いでいくうちに、歌い歌い継いでいくうちに・・・本質的なものだけが抽出されて そこに息づいている。単純化され様式化され、その共通性を知って、また昔話の魅力を発見した夜でした。

講演会のあとの交流会にも参加しました。ポプラの会の勉強会に参加してくださっていたお知り合いに久しぶり20151010日本女子大2で再会出来たりと、嬉しいサプライズもありました。

会場となった日本女子大学・・・現在NHK放映中の「朝がきた」という朝の連ドラの主人公が創設した日本最初の女子大って、ここなんですね・・・(連ドラ、この4月以降観ることが出来てなくて、知らなかった!)

20151010昔話大学2学内にたくさん掲示されていて、そっか、日本女子大ってそんなに歴史のある大学だったんだ〜と認識を新たにしました。そういえば石井桃子さんもここの卒業生でした。 

ドラマもせめて「5分でわかる」だけでも見ておこうかなぁ・・・

最後に・・・上のセットリストの7番は小澤俊夫先生自ら作曲されたメヌエット。朗々と歌われる声もやっぱり素晴らしい。弟の小澤征爾さんが世界的な音楽家であるのは、やはり血筋なんだろうなぁ


そういえば、昨年秋にポプラ文庫40周年記念講演で、我が子たちが卒園したひこばえ幼稚園の園長小塩節先生が、ドイツへ留学した時に 小澤さんもご一緒で、グリム研究から日本の昔話研究へと入っていった・・・という話をしておられたのを想い出し、交流会の時にそのことを話したら、小塩先生とはしばらく逢ってないとのこと、逢いたいなあ〜とおっしゃていた。小澤俊夫先生+小塩節先生対談って出来ないかなぁ
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